なぜ結婚しないのかという問いに対する私の答えはいつも一つである。
それは、「女が私を愛さないから」である。
いつだって私は女たちに惜しみない愛を注いできた。
だが、彼女たちは私のことを愛してはくれなかった。彼女たちはいつだって打算的で利己的だった。
私は人を信じたかったのだ。人を愛したかったのだ。だが女は決して私のことを愛してはくれなかった。信じてはくれなかった。
人間を愛し得る人、愛せずにはいられない人、それでいて自分の懐に入ろうとするものを、手をひろげて抱き締める事の出来ない人、それが私であった。
いつの間にか私は心の底から人を信じることも愛することもできなくなってしまっていたのだ。
悪いのは女である。私のことを愛さない女たちである。愛されることばかり求める女たちである。
私はただ、誰かに愛されたかっただけなんだ。
それ以外は何もいらなかったのに、女はそれだけを私に与えてはくれなかった。