クソログ

強くなければ生きていけない、優しくなければ生きていく資格がない

無意識をハックする

その昔「何もしていない時の脳は“働いていない」と思われていた。
ところが、近年のfMRI(機能的MRI)などの観察から、何もしていない時こそ脳は活発に活動していることがわかってきたのである。
なにもしていない時、といっても睡眠中ではなく、覚醒しているのに、何か意識的な活動をしていない時のことを指している。
例えば、1日の消費エネルギーが2000kcalとすると、その中で脳活動で消費するのは約400kcalくらいで、そのうち、会話をしたり、読書をしたり、料理をしたりといった脳活動で消費されるのはたったの5%、更に20%がメンテナンスに費やされおよそ75%は、何もせずにボーっとしている時間に費やされているということがわかっている。

安静時の脳活動は、意識的な日常生活活動時に使われる脳活動の20倍にも達する。つまり、アクティブな活動中には鎮静化しており、休息時には活発に興奮する神経細胞群が脳内に存在するのである。
脳の消費エネルギーのうち、意識的な活動に費やされるのはごくわずかで、ぼんやりとしているときの方が脳はエネルギーを消費しているというのである。パソコンがバックグラウンドで色々しているように、脳の大半の活動は意識とは無関係に働いているのだ。
我々がぼんやりしているとき、脳の後部帯状回と前頭葉内側はシンクロするように活動しており、このネットワークをデフォルトモードネットワークという。

デフォルトモードネットワークは「自己認識」「記憶」「見当識」などに関連する重要な役割を担っているが、単に活発に活動していれば良いというものではない。
デフォルトモードネットワークは通常では安静時に機能して意識的な活動時には機能が低下するが、うつ病の人では意識的な活動時もデフォルトモードネットワークの活動があまり低下しないといい、統合失調症では逆に、安静時のデフォルトモードネットワークの活動が健常者より活発だという。

そんな脳を休息させることができるのが「マインドフルネス」である。これは、瞑想などを通じた脳の休息法の総称。Googleをはじめ、有名企業でも多く採用されているこの方法の効果は科学的な裏付けがある。

ネットワークのかたちは、人によって随分違いがある。中でも、無意識にネガティブなことを次々と連想させてしまい「どうして?」「なぜ?」「どうすればよかったのか?」等々
、考えても意味がないことを、くり返し考え続ける思考の堂々巡りから抜け出せず心もからだも疲れ果ててしまう人がいる。デフォルトモードネットワークが過剰に働きすぎているため、脳の疲労はどんどん蓄積される。このようにしてなにもしていなくても、脳はずっと活動しエネルギーを消費し続けている。
気がつくとあれこれと物思いにふけってしまうことがある。雑念が次々と湧いてきて、気持ちが囚われていくという状態で、こんな時は、いくらリフレッシュしても疲れは取り切れず、すっきりしない。意識して「考える」ことをしているわけではないので本人も非効率な脳の使い方をし続けていることに気づいていないのだ。脳は休まず活動し続けるので、脳の疲れはたまる一方で、その結果、クタクタになった脳は常にイライラするようになり集中力は衰え、注意散漫、記憶力減退、感情コントロール不能に陥るのである。

では、どうすればいいのか。雑念が次々と湧いてしまい、思考のループに陥ってしまった時はまずはいち早くそのことに気づくこと。そして雑念を放置せず、意識的に深呼吸をしたり、瞑想をしたり、他のことに気をそらして非効率なパターンが構築されないようにするのである。
マインドフルネス瞑想をした場合は、背外側前頭前野とデフォルトモードネットワークの両方が活動的になり、背外側前頭前野が活動することでデフォルトモードネットワークがうまくコントロールされる。その結果、ストレスを感じにくい脳になる。

ADHD、自閉症、といった発達障害、統合失調症、鬱病、アルツハイマー病などはデフォルトモードネットワークと重なる領域に異常が見られることから、デフォルトモードネットワークの異常と病気が結びつく可能性も示唆されている。

このようにして、我々の認知、すなわち人生の大半は無意識によって支配されている。その無意識をコントロールし、最適化するためにも瞑想は欠かせないのである。