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クソログ

愛は、誰を救えるのだろうか?孤独という、あの深淵から……

わたしはわたしが嫌い

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私はかつてプロザックと呼ばれる抗うつ剤を服用していたことがある。
プロザックは、うつ症状が和らぐことからハッピードラッグと呼ばれ、米国では3000万人以上の人が服用しており絶大な人気を博している。

とはいえ、私自身、うつ病と診断されたこともなければ、うつ症状に苦しめられたこともない。
だが私はたしかにプロザックを服用していた。医療機関による処方がなくてもインターネットから自己責任のもと合法的に個人輸入することができるのだ。


うつ病は目に見えない病のため誤解も多いのだが、主たる原因は脳内の神経伝達物質であるセロトニンの濃度が減少することによって生じるとされている。

脳は一種のケミカルマシンで、ニューロンとニューロンの間にはシナプスという狭い隙間があって、脳は化学物質を使って情報を伝達している。シナプスから特定の化学物質を受け取ると、ニューロンが活性化して電位が発生する。それがニューロンの先端に送られて、また化学物質が放出される。脳の仕組みというのは、単純化すれば化学物質を介したデジタルな入出力のことなのだ。
シナプス間隙に貯まったセロトニンは、再吸収され、再利用される。
セロトニン濃度が低い状態が続くと、受容体にセロトニンが作用しにくくなるのだが、プロザックはセロトニンの再取り込みを阻害することでセロトニン濃度を高く維持することでうつ症状を改善する。

そう。うつ病とは脳の病なのだ。



かつて私は、リーダーというものに憧れていた。この世には生まれながらにしてリーダーな人がいる。
社交的で、決断力に優れ、判断力や行動力に富み、気力に溢れ、他者を巻き込んでいけるような、そんな人間。
そういうものに憧れていた時期があった。翻って私はどうかというと、その対極にあるような人物であった。自信がなかった。陰鬱であった。無力であった。そして、退屈な人間であった。

とあるアメリカの脳科学者がベルベットモンキーの集団を調査したところ、ボスザルは他のオスより2倍もセロトニンのレベルが高いことがわかったという。
そして、ボスの地位を失ったオスはセロトニンのレベルが低下し、どこから見ても抑うつ状態の人間と同じようになった。
次に彼らは、群れからボスザルを隔離し、適当に選んだサルに抗うつ剤を処方した。すると、常にそのサルがボスになったというのだ。
人間の集団でも、うつ傾向の強い人はリーダーには向かない。それとは逆に、人の上に立つような意欲的な人物は、脳内のセロトニンレベルが高いに違いなかった。

では、実際にプロザックを服用することで、私の性質は変わったのか。
結論から言うと、何も変わらなかった。
半年ほど服用を続けたが、性格が明るくなったり、テンションが高くなったりすることは無かった。
陰鬱で退屈な私のままであった。
ただ1つだけ変わった点を挙げると、食欲が減退し、体重が落ちた。これは周りから指摘を受けるほどだった。
だが、服用を辞めた途端、食欲は快復し体重も元に戻った。

それ以来、私は抗うつ剤を服用していない。
ありのままの私と付き合っていくしかないと悟ったのだ。

(真似しないでください)

私は「うつ依存症」の女―プロザック・コンプレックス

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