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クソログ

愛は、誰を救えるのだろうか?孤独という、あの深淵から……

借金における「誠意」とは期限までに金を返すこと以外に無い

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あなたは数万円のお金を貸したことあるでしょうか。

僕は一度だけあります。僕がまだもう少し若かったころ、6万円のお金を貸したことがあるのです。

貸した相手は会社の同僚です。とは言っても、彼はお金を貸した1か月後くらいに退職してしまいました。

で、そのお金はというと、結局ほとんどかえってきませんでした。

なぜ貸したかは自分でもよく分からないというか、根負けしたというか、相手があまりに切実に見えたことと、「期日までに絶対還す」という言葉を意味もなく信じたとしか言いようがありません。
なにせ、彼から何度も携帯電話のコールがなり、「正当な理由でお金が無くて、お金を貸してほしい」といった旨のメールが何通も届いていて、よほどお金に困ってるんだろうな、と思いました。
本当に困っている様子だったから、数万円のお金を貸すことで解決するのであれば、助けてあげたかったんですね。

心の底では彼のことを信じたいと思っていたのですが、やはり期日に返済してこなかったので、「ああ、やっぱりな」とも思いました。
お金を渡した瞬間の彼の表情が、「本当に助かりました」という安堵の表情ではなかったからです。
そうした違和感にひっかかりつつも結局は貸してしまったのですから、僕が愚かだったとしか言いようがありません。

指定した返済用の口座に振り込みがなかったので、当然、催促したのですが、腑に落ちない言い訳ばかりで、謝罪さえありませんでした。
それどころか催促することを批判さえされたのです。期日を指定したのは借りたほうなのに、取り立てる人間が悪者といわんばかりで、なぜか、いつの間にか借りた方の態度がでかくなってるんですね。
貸してほしいときはこれでもかというくらい連絡してきたくせに、返す段になるとまったく連絡をよこさなくなる変貌ぶり。誠意など微塵のかけらもない。

それ以降、何度も連絡してはみたのですが、期日を延ばして来たり、「返す意向」だけ示して結局返してこなかったり、無視を決め込まれて、ほとんど回収できませんでした。
結局、泣き寝入り状態になってしまったわけです。

人によってお金の価値観って様々ですけど、一般的な金銭感覚でいうと数万円程度のお金を返してもらえないのってすごくイライラするんですよ。
例えば、これが数百万円とかだったら、訴訟とか起こして本気で回収したり(そもそも数百万円も貸さないですが)するわけなんですが、数万円だとそこまでする気にもなれない。
一方で数千円とかであれば、「まあ、いっか」となるわけです。
数万円程度のお金って返せないのが理解できないくらい返すことが現実的な金額なので、返してもらえないとき、一番腹が立つ金額なんです。

相手を信じてお金を貸して、それが返ってこなかったときの「怒り」って凄まじいです。
無意味にお金を損したっていうショックと、相手から裏切られたっていうショックが折り重なって、「殺してやりたい」ってくらいの憎悪が湧くんです。そして、そんな醜い感情に囚われている自分に対する自己嫌悪や「自分はなんて愚かだったんだろう」といった気持ちにも苛まれて、ありとあらゆる負の感情で心が真っ黒けっけになっちゃうんですね。

だから、「お金を貸してしまった愚かな自分に対する授業料」だと正当化して、この件に関しては考えないようにしました。
暖簾に腕押しを続けるのも面倒でしたし、たかだか数万円のために、貴重な人生をいつまでもイライラした感情で埋め尽くされるのは、それこそ馬鹿馬鹿しいと思ったからです。
お金を貸すということは、「返ってこないリスク」だけでなく、そうした自分の感情に折り合いをつけることにも相当な労力を支払わなければならないのです。これも僕がお金を貸したことで学んだことの一つでした。

この世には人の善意を平気で踏みにじりながら、平然として人生を謳歌している人間がたくさんいます。
苦痛に満ちた弱者の顔をした人間が、金を手にした途端、貸した人間のことを忘れてしまうんです。
罪の意識に苛まれることなく、笑顔で娑婆の飯を食ってるんです。

この経験から僕が言えることは、相手がどんなにお金に困っていたとしても、絶対貸してはならないということです。というのも、まともな神経を持った人間は親しい人にお金を貸してもらおうという発想にはなりません。
つまり、金を借りに来るということは、その時点であなたのことを親しい人間だとは思っていないということです。そんな人間にお金を貸す必要はありません。
そもそも、真っ当な理由でお金に困っており、返す宛てがあり、お金を借りることで本当に解決するのであれば、消費者金融にでもいけばいいんです。
それができないということは、正当な理由でお金に困っているわけでないことの証左です。

それでも、どうしても困っている人を助けたくて、お金を貸したいのであれば、「貸す」のではなく「あげる」ことです。そうすることができない相手や状況では、やはりお金を貸してはならないのです。

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