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クソログ

愛は、誰を救えるのだろうか?孤独という、あの深淵から……

ネットワークビジネスのセミナーに参加したときの話

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「マルチ」などと呼ばれている悪名高いアレである。

連鎖販売取引 - Wikipedia



セミナーに参加することになった経緯を簡単に書いておく。

当時の僕は職場でも不当な立場に置かれていて、正直行き詰っていた。現状が不満で仕方なかった。

ある日、学生時代にそこそこ仲の良かったクラスメートたちで飲もうという話になった。
皆、就職して3年目くらいで仕事や職場の話になった。
僕はとても他人に自慢できるような環境でなかったので「ぼちぼちやっている」などと適当に答えていた。

いろんな人の近況を聞いていると、その中の1人、通称「F」はなんと会社に雇われることなく自分でビジネスをして月30万円も稼いでいるという。
Fは結構堅い仕事についていたはずなのに、退職してそのビジネスを本業にしていたことに僕は驚いた。
当時の僕にとって会社に雇われずに月30万円という金額は心揺さぶるものがあった。
そして興味を持った。そのビジネスとやらに。
そこでFに詳しく聞こうとするのだけれど、うまくはぐらかされて詳細はなかなか教えてもらえない。自分で説明するよりもセミナーに参加したほうがよく理解できるから、というよくわからない理由でセミナーへの参加を勧められた。

その時点でとてつもない胡散臭さを感じたが、これも何かの経験だと思って僕は参加してみることにした。好奇心を満たさずにはいられなかった。
セミナーに参加した当時はネットワークビジネスなどというものの存在すら知らなかったのだ。
その時のFの目がとても印象的だったのを僕は覚えている。それはなんとも言えない違和感だった。適切な言葉が見つからないのだけれど、Fの目が以前と変わってしまっていることに気づいた。
「目が変わった」。そんなのは文章表現の為にある言葉に過ぎないと思っていたが、そうではなかったのだ。


セミナー会場の辺鄙なビルに着くと、同い年くらいのスーツをパリッと着こなした若者が何人かいた。
僕はかなりラフな格好だったので少し居心地が悪かった。

席について10分くらいすると、ネットワークビジネスで大成功をおさめたカリスマがセミナーをはじめた。
少し珍しい名前だったのでこっそりGoogleで検索してみたけれど、オフィシャルな場では特に目立った活動はしていないようだった。

僕以外の聴講者はカリスマの話をなにやら真剣なまなざしで必死にメモをしていた。
そんな周囲を見て「メモとるようなことかよ。何やってんだ?こいつら」って思った。
カリスマも僕のそうした斜に構えた態度が気になったのか、僕の方を見ながら「セミナーをすると必ず1人や2人、斜に構えたような人がいるので~~」と釘を刺してきたので、更に居心地が悪くなった。

カリスマのセミナーは内容はともかく、人を惹きつけるようなその話術には目を見張るものがあった。無知で無垢な若者はこの話術にやられてしまうのだろう。

セミナーが終わった後、僕は直観的にこんなビジネスは「やりたくない」と思った。
今となってもネットワークビジネスそのものが悪なのかよく分からない。
別に違法なわけでもないし、まっとうなやり方で稼いでいる人もいるだろうし、カリスマのようにネットワークビジネスのおかげで人生が変わったという人もいるかもしれない。

ただ一つ言えるのは、ネットワークビジネスは、人間関係にお金といった損得勘定が絡むということだ。
僕はどれだけ儲かるビジネスだったとしても、会社以外の人間関係にそうしたものを入れたくなかった。
僕に限らず多くの人は仕事の関わらない人間関係に損得勘定を絡めることに嫌悪感を感じるのではないだろうか。


セミナー後、帰ろうとした僕はFに呼び止められた。「もっと詳しく説明したいから」と半ば強引にファミレスに連れていかれた。
Fの顔を立てるために、しぶしぶ連れていかれたけれど、さっさと帰りたかった。

そこでFの仲間みたいな人からネットワークビジネスの素晴らしい点をこれでもかというくらいにまくしたてられた。
さっさと帰りたかったので、適当に相槌を打っていた。
ファミレスではドリンクバーしか頼んでないのに割り勘だったので「人の時間奪っといて、ケチだなあ」と思いながら帰った。

その後も、Fからセミナーやビジネス参加の誘いを何度か受けたが、全て断った。
最後は否定するようなかたちで断ったため、喧嘩別れとなってしまった。

それからFとは連絡をとっていない。

僕はFのあの目を思い出した。

他人を洗脳する人間は自分自身が洗脳されていることに気づいていない。
自分が洗脳されているからこそ同じことを他人にできるのだろう。
もっとも強力な洗脳は、洗脳される者がそれを望んでいるときに完成するという。
Fはもしかしたら職場で僕が及びもしないような何か辛い出来事を経験したのかもしれない。
自分で自分を洗脳しなければならないほどの。人は心が弱っているときほど自分が信じたいものを信じてしまう。
そう思うと怒りや憐れみなどではなく、深い悲しみを感じた。

そうして僕はいつものつまらない日常へと帰っていった。

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