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クソログ

愛は、誰を救えるのだろうか?孤独という、あの深淵から……

「自分への投資」の本当の意味

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経済学は有用な学問です。
例えば、絶対確実な投資先を教えてくれます。
預金金利を年3%として1億円を銀行に預けると300万円の利息がもらえます。これを逆から説明すると、300万円の利息は1億円の資産から生じます。
あなたが働いて一年間に300万円の収入を得ているとします。無から有が生まれないとすれば、この300万円もまた、1億円の銀行預金に匹敵する何らかの資産から生じているはずです。この資産、すなわち労働から利益を生み出す個人の能力が「人的資本」です。

人的資本論を唱えたベッカー教授によれば、人間関係や健康をも含めた広い意味での人的資本が社会の富の大半を占めています。それに比べたら貯金の多寡などはなんの意味もありません。
裕福な資産家は別として、ほとんどの人は人的資本を上回る物質資産を持つことはない、ならばわずかな貯金を殖やそうと苦心惨憺するよりも大きな富を生む人的資本にこそ投資すべきだと、このノーベル賞学者はいいます。

大学院や専門学校で資格を取得したり、語学学校に通うことが流行しています。これを「自分への投資」といいます。大衆社会では経済理論も大衆化します。
しかし、こうした投資は往々にして無駄に終わりがちです。資格や能力に価値があるのはそれが希少だからです。
ダイアモンドに高い価値があるのは美しいからではなく、希少だからです。
片言の英語が話せるからといって収入が増えるわけではありません。かつて弁護士が高給を得られたのは需要に対して人数が少なかったからです。少数の人間が大きな利益を手にする以上、ゲームの参加者の大半は損をしています。

経済学者、デイビッド・リカードは、たとえ経済格差が存在するとしても自由貿易は参加者全員の富を増大させると説きました。全てを一国で生産するよりも、より生産性の高い分野に特化した方が儲けは大きくなります。効率の悪い分野の製品は外国から輸入します。そうすることで小国も大国との貿易から富の分配を受け、どちらの国もより豊かになります。
リカードのユートピアでは、国家に限らず、企業でも個人でも、誰もが自分の得意分野で頑張れば全員が幸福になれます。社会は弱肉強食の世界ではなく、人々は自分の得意技を交換し合って豊かになっていきます。これはとても美しい理論です。
リカードは初等教育しか受けず、株式仲買人として働きながら独自の経済理論を完成させました。だからこそ彼は、富も理想も市場でしか生まれないことを知っていたに違いありません。


個人の優位性を「エッジ(刃)」といいます。誰もが自分のエッジを持っています。人的資本への投資とは、資格の数を増やしたり、試験で良い点数をとったりすることではありません。自分だけの刃を研ぎ澄ますことです。

人的資本―教育を中心とした理論的・経験的分析

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