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クソログ

愛は、誰を救えるのだろうか?孤独という、あの深淵から……

「早い思考」と「遅い思考」

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経済学者、ダニエル・カーネマンは経済学に心理学を導入して、ノーベル経済学賞を受賞しました。
そのカーネマンは、我々人間は「早い思考」と「遅い思考」を使い分けているといいます。

「早い思考」は直感のことで、心理的な負荷が低く、わかりやすくて快適です。暗闇でなにかの気配を感じ、「危険」と警告を発するのが「早い思考」です。
それに対して、「遅い思考」は、二桁の掛け算を暗算するようなもので、心理的にも身体的にも負荷が高い。やってみるとわかりますが、筋肉は緊張し、血圧も心拍数も上がります。要するに不快なのです。

「早い思考」と「遅い思考」は、どちらも生きていくうえで大切なものです。友情は愛情は掛け算からは生まれませんが、領土問題が解決できないのは双方が「なわばりを守れ」という「早い思考」にとらわれているからです。

人の感情は200万年続いた石器時代にかたちづくられ、それ以来ほとんど変わっていません。
石器時代の厳しい環境では、「早い思考」は生き延びるのに必須でした。例えば茂みで物音がしたとき、それがなにかをじっくり考えていては、飛び出してきたライオンに食べられてしまいます。直感に従って逃げ出した者だけが子孫を残したのです。
それに対して、文明社会では、「遅い思考」の価値が高くなって、早い思考はだんだん役にたたなくなってきます。街に虎やライオンはいませんから、石器時代と同じようにびくびくしている必要はないのです。
さらに現代では、経済の中心は製造業から知識産業に移っています。知識経済というのは、「早い思考」では理解できないことから富を生み出す仕組みです。直感は誰でも持っているので、そこに付加価値はありません。わかりにくいものにこそ価値があるのです。

金融市場では株式や為替などバーチャルな商品が取引されています。金や不動産のような現物資産と違って、これらは直感で理解することが難しい。
株価や地価は将来の利益を現在価値に割り引いたもので、為替はモノの値段が同じになるように異なる通貨を調達することです。しかしほとんどの人はこんなふうに考えず「アベノミクスで円安・株高になる」といった分かりやすい理屈を求めます。
こうした視点に立つと金融市場がどんな場所か見えてきます。そこでは「遅い思考」のできる人が、「早い思考」しかできない人をカモにしているのです。

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